※相続放棄の証明としては、「相続放棄申述受理通知書」のコピーを渡すか、「相続放棄申述受理証明書」を裁判所で取得して渡せばよいです。(一通150円)「相続放棄申述受理証明書」は、相続放棄が受理されると、裁判所から本通知書が発行されます。「相続放棄申述受理証明書」は、裁判所に申請した場合にのみ交付が受けられ、何通でも取得可能です。利害関係人(債権者)や他の相続人という立場であれば請求できます。
項目 | 3か月の熟慮期間経過「前」 | 3か月の熟慮期間経過「後」 | |
報酬 | 相続放棄申述書 | ¥35,000 | ¥50,000 |
2人目以降 | ¥20,000 | ¥35,000 | |
戸籍収集 | 1件¥1,000 | ||
実費 | 印紙、郵便切手 | 460円(内訳:82円5枚,10円5枚)※さいたま家庭裁判所の場合 | |
戸籍 | 戸籍¥450 除籍謄本・原戸籍¥750 |
相続トラブルの可能性があります。例えば、自分が死んだ夫の相続を放棄したために、夫の親や兄弟に債権者から取り立てが行くこともある。そのため、父母兄弟には前もって夫に借金があったこと、自分たちは相続放棄を考えていることを言わなければ後で相続トラブルの可能性があるので注意が必要です。(父母や兄弟に相続権が移っても父母兄弟も当然相続放棄ができますが)
相続人は,自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に,単純承認,限定承認又は相続放棄をしなければなりません。しかし、利害関係人(相続人も含む。)検察官の申立てにより、請求により家庭裁判所は、この3か月の熟慮期間を伸長することができます。(民法915条1項)
相続放棄が認められた後は、たとえ理由があったとしても撤回することはできません。例えば、相続放棄する前には気づかなかった高価な相続財産があることを後に知り、放棄を撤回にして欲しいと言っても、それは認められません。「知らなかったのは仕方ない!」と主張しでも認められない。自分が相続人と知ってから、相続放棄のできる熟慮期限は3ヶ月間あるので、事前に相続財産の調査をしっかりとやらなければなりません。
遺産分割での相続放棄では、借金の返済義務は免れません。
例えば、遺産分割協議書内で「すべての財産は長男に相続させる」としました。(事実上の相続放棄)しかし、その場合でも負債もすべて長男が負担ということになりません。家庭裁判所を通して相続放棄をしていない場合、何も相続していないとしても、相続人全員で負債を負担する義務が生じます。
遺産分割協議書に書かれた内容というのは、あくまでその書類に署名捺印した相続人全員が承諾した内容であって、債権者に通用するかどうかは別の問題です。債権者も交えて行なわれた契約ではないので、債権者には主張できません。(※債権者が承諾すれば請求されないこともあります)。そうしたリスクを避けるために、きちんと家庭裁判所を通して相続放棄をすることをおすすめしています。
・3か月の熟慮期間の経過した場合
・単純承認または法定単純承認してしまった場合
法定単純承認事由にあたる事例
3か月経過した、法定単純承認事由に該当したしまった場合は、原則、相続放棄できません。
しかし、状況により、以下の判例のように、相続放棄が受理される場合もありますのでご相談ください。
プラスの財産とマイナスの財産があって、相続放棄をするべきかどうか分からない場合には、あまり使われていないが、相続放棄以外に、限定承認という方法があります。
しかし、限定承認の手続は、相続人全員でやらなければならず、債務の清算手続きが必要なため財産調査を詳細に行うため手続きが煩雑になり、またみなし譲渡取得税がかかることがあります。そのため手続期間も1年以上を要することが多く、専門家へ依頼する場合には最低100万円単位で費用がかかることが多いです。
そのため、相続財産の全体が不明で、負債が数千万円あるけれど、もしかしたらそれを上回るプラスの財産があるかもしれない場合や、先買権を行使して、住んでいる不動産を守りたい時などに向いています。
※2016年度の件数は、限定承認が753件、相続放棄が19万7656件となっており(出典:裁判所 司法統計年表 家事編)、限定承認の件数は相続放棄の200分の1以下です。
相続放棄をする場合、家庭裁判所への提出書類に相続放棄をする理由を記入する必要があります。生活が安定しているから、債務超過など一定の理由を裁判所へ伝えなければなりません。資産や負債の詳細について記載する欄もありますが、厳密に細かく調べる必要はなく、わかる範囲で記載しておけば大丈夫です。通常は裁判所との郵送のやりとりだけで手続きが可能です。もし裁判所が必要と判断すれば、裁判所へ呼び出しされることもあります。提出する書類の作成方法によっても、裁判所の対応が変わることがあります。相続放棄は1度しか申請して、認められなければ再度申請ができない手続きとなりますので、専門家へ依頼することをお勧めです。